2012年10月8日月曜日

舞台の力

ずっと昔から、
他人様の前で踊るってのは、他の何にも変えられない感覚がある。

どれだけ稽古してもやっぱり、
見る人がそこにいることで身体の表面がおかしくなりそうで最高にピリピリして抉られてゆく感覚とか、
ひっぺがされてずる剥けにされて、ただの肉の塊もしくは気体とか煙とか光とかになっちゃう感覚とか、
誰も助けてくれない、逃げたくたって泣きたくたってここに居ることに責任を持たなきゃいけない感覚とか、
大袈裟だろうか笑、
でもそういうのはお客さんの前に立つ度、感じる。
何年舞台に立っても、変わらない。

それが快感だとは言わない、だけど、こうしないと私はだめなんだ、っていつも思う。

小さい頃は「私を見ろ!!」って念じながら踊ってたな、今でもちょっとそれは思うかも。笑
ただ、良く見られようとすることは昔よりなくなった。そんな素敵で都合のいい事なんてのは、ない。

舞台に立つのは、他人様の前に立つのは、ある意味いつも、戦いなのだ。
言い訳は効かない。
誤魔化すなんてもってのほか。
舞台は、私が試される場所だけど、私以上のものが勝手に生まれるほど優しくない。
照明や、音響や、舞台美術や、衣装だって、私を素敵に飾り立ててはくれない。それらだって舞台の上で一番輝こうとして私を潰しにくる。何故なら、それを作る(操る)人もまた本気だから。

だけど、空間は身体の味方なのかもしれないと思ったりする。
飼いならすのが最高に難しいけど。
私の身体と空間がひっくりかえって、空間が私の身体になれば、何か超えられる。たぶん。



ただぼけーっと舞台に乗って、人前に立つ事は誰にだって出来る。所詮舞台って言ったって、ただの高い場所、ただの開けた場所なんだから。
だけどそれだけの事が本当に身体に襲いかかって、それに対抗したいと思う時、恐ろしく魅力的な舞台の力ってほんとに在るんだと実感する。

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